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百日咳とリンゴ病について
コロナの影響で、コロナ以外の感染症が全く流行らないときを過ぎてから、さまざまな感染症が順番に流行しています。
今年は百日咳とリンゴ病です。
百日咳は、乳児では重症化しますが、幼児以上では症状からは風邪やほかの気管支炎との鑑別が難しく、コロナやインフルエンザのような感度のよい抗原検査もないため、そうかも?というだけで確定診断にいたっていないことが多いです。
クラリスロマイシンやアジスロマイシンが効きますが、耐性菌も多いようです。ワクチン接種前の乳児で死亡例も出ています。就学前や11歳、12歳の3種混合ワクチンをなぜ定期接種にしないのか不思議です。今は、3種混合ワクチン自体が手に入りにくい状態になっています。できることは、生後2か月になったら、ワクチン接種を開始すること、赤ちゃんには咳の症状がある人はうつさないよう細心の注意を払う、その2つが重要かと思います。
リンゴ病は、特徴的な皮疹が出るので、そこまで来たら診断は簡単ですが、そのときには病気は終盤にさしかかっています。感染して1週間で、1-2日の発熱や頭痛があることがあり、そのさらに1週間後に皮疹が出現します。リンゴ病の原因ウイルスはヒトパルボウイルスB19というウイルスで赤血球の前の段階の細胞に感染します。このため、一時的に赤血球がつくられるのがストップするのですが、健康な人では赤血球の寿命が長いため、ほとんど影響がありません。赤血球寿命が短い溶結性貧血の人は、急な貧血の進行がみられますので危険です。妊婦さんから胎児に移行すると、胎児が重症な貧血となることがあり(頻度は高くはないようですが)、注意が必要です。
血の中にウイルスがたくさんいるウイルス血症は、熱がでているときであり、そのときに周りにうつしているのですが、特徴的な所見がないため、診断することが難しいです。熱も出ず、体調が何も悪くない人も多く、そうなると疑うこともできません。そのあたりが、この病気の厄介なところです。妊婦さんや血液の病気のある人、免疫不全の人などは、リンゴ病が流行っているときは、ほかの人との接触をなるべく避けるとかマスクをするなどして気をつけることがすすめられます。
私が働き始めてから、こんなにリンゴ病が流行るのは初めてです。
健常な人には軽い病気だけど、重大な影響をうける人もいる、なかなかのくせものです。
2025.07.11 | クリニックブログ
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